<導入例>
通常は手作業で行うバリ取りを複合旋盤の機能をいかして自動化しました。
さらにマクロプログラムを組み込むことでブラシ摩耗に応じた自動補正も実現。
無人運転を阻害する大きな要因が解消されました。
<これまでの課題>
・手作業でのバリ取り→無人運転ができない
・ブラシの摩耗で仕上がりに差が出る
・定期的に補正入力が必要で作業者に負担がかかる
<改善内容>
・複合旋盤の回転工具に砥粒入りナイロンブラシを装着
・ワーク回転+ブラシ回転にて安定したバリ取り
・マクロプログラムの組み込み
プログラムエンドで補正量を自動加算
摩耗による取れ具合の差を吸収
手動補正による手間を削減
<効果>
・「加工→バリ取り→補正」までを完全に自動化
・無人運転時間延長による人員不可の大幅低減
・バリ取りの漏れや人による差がなくなる
<まとめ>
「機械は削るだけ」という固定観念を崩し、ブラシ+マクロプログラムで自動補正まで組み込むことで、現場の負担を大きく減らせました。
形状にはよりますが他の加工にも応用可能です。
<補足>
プログラム例とか使ったブラシの情報を以下に載せておきます
<使用ブラシ>
ミニタ FC2821
<ワーク回転+ブラシ回転のプログラム>
M5
G98T808
G0X70.0Z10.0M8M108
S1500M14
M4
G99G97
S10
Z0.5M110B1803
G1Z-2.0F5.0
G4U2.0
G0Z2.0
G98
S1500M13
M3
G99G97
S10
G0Z0.5
G1Z-2.0F5.0
G4U2.0
M111
#2108=#2108-0.010 //マクロプログラム
G0Z10.0M5M15
G28W0M9
M1
このプログラムは使用設備によって結構変わると思いますので色々試してみてください
記載プログラムは入り側と抜け側の両方をバリ取りするものになっていますが抜け側のみをバリ取りしたい場合は回転方向を確認しながら片側を省略してください。
村田機械の設備では回転工具の回転数指令して主軸回転させると主軸と回転工具が同じ回転数で回転してしまったためかなり無理やりなプログラムになっています。
設備の個体差があるのか設備によっては1500回転で指令してもなぜか回転工具が2500回転になってしまう設備もありました。(原因は不明です)
<マクロプログラム>
(バリ取り終了後の自動補正処理)
#2108=#2108-0.010 //ブラシ摩耗分を自動補正 T9工具のZ方向に補正を入力
M30 //プログラム終了
※注意点 自動で補正が入力されていますのでブラシ交換の際は摩耗補正を「0」にリセットしてください、そうでないと長いブラシでそのまま製品に突っ込むことになります。
ちなみにX方向に自動補正したい場合は#2108を#2008のように変更すればできるようになります。
完全に余談になってしまいますがブラシの粒度によっては簡易的な研磨になるので切削で粗さが出しずらい場合でも、この方法であれば粗さをクリアすることも可能です。
ぜひぜひ活用してみてください。
今後もためになるようなならないような加工に関する小ネタみたいなものを自由気ままに書いていきたと思います。
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